ここでは、
●相続税の仕組みと申告
●相続税早見表
について、詳しくご説明していきます。
相続税の仕組みと申告
相続税は、相続または遺贈により財産を取得した場合に課されます。
相続税には基礎控除というものがあり、遺産の評価額が基礎控除の金額以下であれば相続税は課税されず、
税務署に対する申告も必要ありません。
また、評価額が基礎控除を超える場合でも、
税務上の特例(配偶者控除、小規模宅地の評価減)により、
相続税がかからないケースもあります。
基礎控除額は
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
で算定することができます。
相続税の申告
相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に、相続税の申告を行う必要があります。
申告書の提出先は、亡くなられた方の死亡時の住所地を管轄する税務署です。
相続税は、原則的に金銭で申告期限までに一括納付しなければなりません。
例外としては、
- 「延納」
- 「物納」
という二つの方法があります。
延納とは、金銭で納付することが困難な場合に、担保提供を条件に元金の均等年払いが
可能となる制度であり、
物納とは、延納も難しい場合に、 相続財産を現物で国に納付する方法です。
以下の順番で納付することが定められています。
1.国債や地方債、不動産、船舶
2.社債、株式、有価証券
3.動産
相続税の計算
相続税の計算は以下の式から算定することができます。
相続税の課税価額=
遺産総額-非課税財産-債務・葬式費用+相続開始前3年以内の贈与財産
相続税の総額は、法定相続人が法定相続割合で遺産を分割したものと仮定して、相続税を各相続人について計算し、その合計を算出して求めます。
そして、その総額を実際の割合で按分して、各相続人が負担することになります。
また、配偶者や未成年者など、相続人に応じて控除や加算が行われます。
課税対象財産
相続税の対象となる財産は、大きく分けて以下の3つになります。
1.本来の相続財産
2.生前の贈与財産
3.みなし相続財産
1.本来の相続財産
この場合の財産とは、
「被相続人が死亡時に所有していた現預金、有価証券、土地・家屋、貸付金、著作権などの金銭に見積もることができる経済的価値のあるものすべて」のことです。
2.生前の贈与財産
「相続により財産を取得した者が、相続の開始日から死亡前3年以内に取得した
被相続人からの贈与財産及び相続時精算課税の適用を受けた財産」のことです。
→これらの財産はすでに被相続人の所有から外れていますが、相続税の計算上は
本来の相続財産に上乗せします。
3.みなし相続財産
「本来的に被相続人の財産で、相続税の計算上は相続財産とみなして、
本来の相続財産に上乗せする財産」のことです。
→この対象となるのは、死亡保険金、損害保険金、死亡退職金などです。
相続税の評価額の算出
相続税の申告は時価ではなく、
相続税法や国税庁の通達に従った評価額、すなわち相続税評価額をもとに行います。
しかしこの相続税評価額の計算は、相続税の申告で最も難しく、かなりの専門知識
が要求されます。
財産評価の詳細は「財産評価基本通達」にありますが、以下に主なものをご紹介
いたしますので、参考にしてください。
土地の評価方法
(1) 路線価方式
「土地の面する路線(道路)を区切りとして、国税庁の定めた土地の路線価をもとに
評価する方法」です。
評価方法としては、路線価に土地の面積を掛けて評価額を求めるのが基本ですが、間口が狭くて細長い土地だったり、がけ地だったりすると評価額の調整が行われます。
主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式で、毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。
●算出方法: 路線価×(注)補正率・加算率×宅地面積
(注)土地の間口、奥行き、地形等で利用しにくい土地は一定の方法により評価額が
低くなります。逆に二つの路線に面している角地などは、土地の利用価値が高くなるため
評価額も高くなります。
(2) 倍率方式
「都市郊外の地域で路線価が定められていない地域で採用される方式」で、
地域ごとに定められている倍率表に基づいて土地を評価します。
●算出方法: 宅地の固定資産税評価額×倍率
( 3)借地の評価
●算出方法: 路線価方式、または倍率方式の評価額×借地権割合
※借地権割合は路線価図や評価倍率表に表示されています。
建物の評価方法
(1)自用家屋
●算出方法: 固定資産税評価額×1.0
(2)貸家
●算出方法: 自用家屋の価額×(1-30%)
上場株式の評価
証券取引所に上場されている株式を、上場株式といいます。
上場株式の評価は、その株式が、上場されている証券取引所が公表する課税時期
(被相続人の死亡日や贈与を受けた日)の最終価額によります。
しかし、上場株式は日々価格変動するものであり、評価の安全性を考慮した
以下の4つの評価方法があります。
1)相続が開始した日の最終価格
2)相続が開始した月の最終価格の月平均額
3)相続が開始した月の前月の最終価格の月平均額
4)相続が開始した月の前々月の最終価格の月平均額
生命保険金の評価
●算出方法: 受取金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)
退職手当金の評価
●算出方法: 受給金額-非課税枠(500万円×法定相続人の数)
生命保険契約に関する権利(保険事故が発生していないもの)
解約返戻金相当額などがございます。
相続税早見表
相続に関連するご質問の中で最も多いのは、
「どの程度相続税がかかるのか?」というものです。
相続税額は、遺産の総額(債務控除後)と法定相続人関係で決まります。
下記の「相続税早見表」でおおまかな相続税額をご確認下さい。
詳細につきましては、協力先の税理士をご紹介させて頂きます。
1)配偶者がいる場合(平成21年8月現在の相続税法に基づく計算)(単位:万円)
相続財産 |
法定相続人 | |||
配偶者 + 子1人 |
配偶者 + 子2人 |
配偶者 + 子3人 |
配偶者 + 子4人 |
|
4,000万円 | – | – | – | – |
5,000万円 | 40 | 10 | – | – |
7,500万円 | 197 | 143 | 106 | 75 |
1億円 | 385 | 315 | 262 | 225 |
1億5,000万円 | 920 | 747 | 664 | 587 |
2億円 | 1,670 | 1,350 | 1,217 | 1,125 |
2億5,000万円 | 2,460 | 1,985 | 1,799 | 1,687 |
3億円 | 3,460 | 2,860 | 2,539 | 2,350 |
3億5,000万円 | 4,460 | 3,735 | 3,289 | 3,100 |
4億円 | 5,460 | 4,610 | 4,154 | 3,850 |
4億5,000万円 | 6,480 | 5,492 | 5,029 | 4,600 |
5億円 | 7,605x | 6,555 | 5,962 | 5,500 |
5憶5,000万円 | 8,730 | 7,617 | 6,899 | 6,437 |
6億円 | 9,855 | 8,680 | 7,837 | 7,375 |
6億5,000万円 | 1億1,000 | 9,745 | 8,774 | 8,312 |
7億円 | 1億2,250 | 1億870 | 9,884 | 9,300 |
7億5,000万円 | 1億3,500 | 1億1,995 | 1億1,010 | 1億300 |
8億円 | 1億4,750 | 1億3,120 | 1億2,134 | 1億1,300 |
8億5,000万円 | 1億6,000 | 1億4,247 | 1億3,259 | 1億2,300 |
9億円 | 1億7,250 | 1億5,435 | 1億4,385 | 1億3,400 |
9億5,000万円 | 1億8,500 | 1億6,622 | 1億5,509 | 1億4,525 |
10億円 | 1億9,750 | 1億7,810 | 1億6,634 | 1億5,650 |
※子がいない場合や、死亡した場合は、父母・兄弟の有無・生死等により法定相続人が
変動します。
2)配偶者がいない場合(平成21年8月現在の相続税法に基づく計算)
(単位:万円)
相続財産 |
法定相続人 | |||
子1人 | 子2人 | 子3人 | 子4人 | |
4,000万円 | – | – | – | – |
5,000万円 | 160 | 80 | 19 | – |
7,500万円 | 580 | 395 | 270 | 210 |
1億円 | 1,220 | 770 | 629 | 490 |
1億5,000万円 | 2,860 | 1,840< | 1,440 | 1,240 |
2億円 | 4,860 | 3,340 | 2,459 | 2,120 |
2億5,000万円 | 6,930 | 4,920 | 3,959 | 3,120 |
3億円 | 9,180 | 6,920 | 5,460 | 4,580 |
3億5,000万円 | 1億1,500 | 8,920 | 6,979 | 6,080 |
4億円 | 1億4,000 | 1億920 | 8,979 | 7,580 |
4億5,000万円 | 1億6,500 | 1億2,960 | 1億980 | 9,080 |
5億円 | 1億9,000 | 1億5,210 | 1億2,979 | 1億1,040 |
5憶5,000万円 | 2億1,500 | 1億7,460 | 1億4,979 | 1億3,040 |
6億円 | 2億4,000< | 1億9,710 | 1億6,980 | 1億5,040 |
6億5,000万円 | 2億6,570 | 2億2,000 | 1億8,989 | 1億7,040 |
7億円 | 2億9,320 | 2億4,500 | 2億1,239 | 1億9,040 |
7億5,000万円 | 3億2,070 | 2億7,000 | 2億3,490 | 2億1,040 |
8億円 | 3億4,820 | 2億9,500 | 2億5,739 | 2億3,040 |
8億5,000万円 | 3億7,570 | 3億2,000 | 2億7,989 | 2億5,040 |
9億円 | 4億320 | 3億4,500 | 3億240 | 2億7,270 |
9億5,000万円 | 4億3,070 | 3億7,000 | 3億2,499 | 2億9,520 |
10億円 | 4億5,820 | 3億9,500 | 3億4,999 | 3億1,770 |
※子がいない場合や、死亡した場合は、父母・兄弟の有無・生死等により法定相続人が
変動します。