相続について

相続時の不動産問題

相続時における不動産問題は、

評価から境界の問題まで様々なものが発生します

したがって、ここでは

  • 相続時における不動産問題について
  • 上手な売却方法について

詳しく解説していきます。

 不動産の名義変更(相続登記)

不動産の名義を変更しないと、後々トラブルになることがありますので、
この作業はできるだけ速やかに行ってください

法務局で登記簿を閲覧すれば、誰でも、その不動産の所有者や担保などが付いているか
どうかを確認することができます。

相続が発生した場合、「被相続人名義の不動産を相続人名義に変える手続き」をしなく
てはなりません。

手続きの流れ

1.登記に必要な書類の収集

登記に必要な書類は、「どのように遺産分割の協議が行われたのか」によって、
用意する書類が異なってきます。

1)法定相続人が一人の場合または法定相続分で相続をする場合

●被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍

●法定相続人の戸籍

●法定相続人の住民票

●相続する不動産の固定資産税評価証明書

2)遺産分割協議で決めた割合で相続をする場合

●被相続人の出生から死亡までの連続する戸籍

●法定相続人の戸籍

●法定相続人の住民票

●相続する不動産の固定資産税評価証明書

●法定相続人の印鑑証明書

●遺産分割協議書

2.申請書の作成

登記申請書を作成する場合の詳細は、状況によって複雑に変化します。

したがって、司法書士に依頼した方が、より正確かつ速やかに実行できるでしょう。

3.登記の申請

登記申請書と収集した書類をまとめ、
相続する不動産を管轄する法務局に登記申請をします

提出した書類に不備がなければ1週間~10日程で登記が完了し、
不動産の名義が変更されたことになります。

4.登記の費用について

登記を申請する際には、税金(登録免許税)の納付が必要になります。


その際必要になる税金(登録免許税)は、

固定資産税評価証明に記載されている不動産の価額 × 4/1000

という価格になります。

 不動産の評価方法

「不動産」は、相続税に最も大きな影響を与える財産の一つです。

不動産の財産価値が高ければ高いほど、相続税の負担も大きくなるため、
不動産の財産価値をどう評価するかによって、大きな金額負担の差異が発生します。

不動産の評価は、税理士が路線価と不動産面積から算出するのが一般的です。


路線価とは、不動産に接する道路に決まっている値段のことです。
その値段を調べて、不動産の面積を数式に当てはめれば、不動産の大まかな価値を
算出できます。

 
※ただし、不動産は非常に個別性が高い財産であるため、これだけでは適正な
 不動産価格は出せません。
 実際に現地へ赴き、高低差や不動産の形、交通手段、周辺の施設等をチェックし、
 それらの要素を加味して、最終的な「不動産の価値」を算定するのです。

相続不動産の評価における問題点

意外と知られていないのですが、
すべての税理士が、不動産評価を出来るわけではありません。

なかには、相続税申告に慣れていない税理士もいて、
その土地評価が適正ではないことがある
のです。
(税理士が10人いれば、相続税評価額は10通りあると言われているくらいです。)

そのことによって、
●相続人が払わなくてもよい相続税を払わされて、後に訴訟になるケース
●他の税理士が、税務署から払い過ぎた分を取り戻す請求を起こすケース

などが発生することも少なくありません。

当センターでは、相続税に詳しい税理士や、相続不動産の評価に長けた不動産鑑定士
と連携して、業務に取り組んでおります

もちろん全てではありませんが、相続税が高いと思ったら
不動産の評価を見直せる可能性もありますので、お一人で悩まずぜひご相談ください

 相続不動産の評価を減らす

相続税の負担を軽くするためには、出来るだけ相続税評価額を減らしておくこと
が肝心です。

もちろん、違法に減らすのではなく、法律で認められている事項を漏れなく適用
していきます


下記に代表的な評価減の方法論を掲載しておきますので、参考にしてください。

土地を他人に貸している場合

●算出法 : 貸宅地の評価額=自用地価額×(1-借地権割合)

(※自用地とは、他人に貸さずに自分で使用している宅地のことを言います。)

土地を借りている場合

●算出法 : 借地権の評価額=自用地とした場合の評価額×借地権割合

(貸している土地であっても、建物がない場合には借地権は発生しません。)

(借地権割合は、路線価図や評価倍率表に表示されています。)

賃貸物件を所有しているとき【貸家建付地評価減】

 ●算出法 : 地主が建物を建てて他人に貸している時の土地
       貸家建付地=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

(賃貸割合は、賃貸されている各独立部分の床面積の合計÷家屋の各独立部分の床面積の合計で算出することができます。)

生活に必要な資産に対する配慮【小規模宅地の評価減】

生活の基盤となる最低限必要な財産を相続税から守るため、被相続人の居住用宅地や
事業用宅地のうち、一定の面積までは通常の評価より一定の評価減を行うもの。

宅地の状況 種類 限度面積 減額される比率
居住用宅地 特定居住用宅地 240㎡ 80%
その他の居住用宅地 200㎡ 50%
事業用宅地 特定事業用宅地 400㎡ 80%
特定同族会社事業用宅地 400㎡ 80%
その他の事業用宅地 200㎡ 50%

建物を他人に貸している場合

●算出法 : 貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

 相続不動産の売却

相続に関する不動産のご相談の中で、最も多いのが、
相続した土地・建物を実際には使わないので、売却したいというものです。


不動産の売却というイベントは、人生で何度も経験することではないため、
不動産会社に比べると、こちらの経験値が圧倒的に少ないのが現実です。


より良い売却の方法・より良いタイミング・より良い特例の使い方など、
ある程度専門家に相談・最低限の情報を把握した上で、実際の売却に進みましょう。

だれが相続するか決まっていない不動産を売却する場合

相続財産を未分割のまま売却する場合には、
「各相続人が法定相続分に基づいて共同で相続し、売却したもの」
と考えることになっています。


この割合に基づいて売却代金等を按分し、それぞれが税金を計算して申告する
ことになります。
現に、その不動産に居住している人は、居住用の特例を使うことができます。

なお、売却してしまうと法定相続分でそれぞれが相続することを同意した
判断されます。
後に分割協議をして、法定相続分と異なる割合で代金を分割することは、
原則的には認められませんのでご注意ください。

相続してすぐ売却するときの注意点

亡くなった人の自宅土地について、小規模宅地の特例を使う場合には、
相続税の申告期限(亡くなった日の10ヶ月後)までにその土地を売却すると、
80%の減額が使えず、50%の減額になってしまうことがあります

たとえ減額できると言っても、30%の差は大きいので、注意して進めなければ
なりません。

小規模宅地の特例は、土地の評価額を最大で80%減額するものです。
実際に、「この特例を使ったおかげで相続税がゼロになった」
というケースが多々あります。

配偶者がその土地を相続する場合には、いつ売却しても80%の減額ができる
ことになっているので心配ありません。

この制度の適用を受けるには、その他にも様々な要件を満たす必要がありますので、
必ず専門家に確認してください

優遇税制・取得費加算特例

「相続税を納税するための土地や建物売却については、譲渡所得税を安くする」
という趣旨の特例があります。

相続又は遺贈により取得した土地や建物に対する相続税が課税されていれば、一定の期限日までに相続した不動産を売却することで、相続税の納税額までは非課税になります。

ちなみに、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年間はこの特例が適用でき、非課税枠が適用できるのです。

 ・例:令和3年4月1日に相続開始(亡くなった)の場合。
    →期限日は、令和7年2月1日になります。

また、相続税を物納した場合でも利用できます

 相続登記 とは

相続登記とは、相続財産である土地や建物の名義を変更する手続きのことです。

この手続きを怠ると、その土地や財産の所有権を主張することができません。
つまり法律的に、自分の所有物とは認められないのです。

しかし、この登記手続きには明確な期限が定まっていないために、
または下記のような誤解によって怠っているケースが多発しています。

 【登記をしない理由】

死亡した人が地方に土地を保有していた場合に、
 遺族の方(相続人)では発見することが出来ずに、名義変更を怠ったケース

このまま放置しておくと、相続する権利を保有する相続人が時間とともにどんどん増えて
いき、遺産分割がスムーズに進まずに、時が経つにつれて相続人が増え、遺産分割に異を
唱える相続人が出てきます。

また、分割方法で合意していたものの新しい相続人も相続分を主張してきたりするなど、
一向に遺産分割が進まないことになってしまいます。

相続人が(借金などを理由に)行方不明になってしまい、
 その相続人が不在のため、相続ができないと思い込み名義変更をしなかったケース

相続人がなんらかの理由で行方不明になってしまうこともあります。
しかし、その相続人不在ではもちろん相続は成立しません。

ですから、このような場合に、家庭裁判所に「不在者財産管理人の申立て」を行い、
行方不明になってしまった相続人の代わりに、法律の専門家などが行方不明者の
財産管理人として、話し合いに参加し、遺産を分割することができます。

また、7年間以上生死不明の場合は、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行い、
行方不明者を法律上死亡したものとみなす制度もありますので、ぜひご相談下さい。

登記済証(権利証)を紛失したため、登記ができないと思い込んでいるケース

不動産を所有している方は、権利証(不動産登記法改正後は、登記識別情報)をもって
おられると思います。

しかし、相続を原因として名義変更する場合は、権利証(登記識別情報)は必要ありま
せんので、ご安心下さい。

相続登記をすると、“莫大な”相続税が発生すると思い込んでいるケース

相続に関する手続きをした時に、常に相続税が発生すると思っておられる方が非常に多い
のですが、相続税が発生する相続案件は全体の5%に満たないのが現状です。

つまり、殆どのお客様には相続税は課税されません。
ですから、安心して相続財産の名義変更をお済ませ下さい。

登記をせず、そのまま長期間経過してしまった場合、
 なんらかの罰則を恐れて、名義変更ができなかったケース

名義変更をしなかったからといって、罰則などが適用されることはございません。

ですから、迅速に名義変更することをお勧めいたします。

そもそも登記が必要なことすら知らないケース

新しく土地を取得した場合は、所有権の移転登記が必要になりますし、建物を新築した
場合などは、所有権の保存登記が必要になります。

自分の土地や建物の権利を守るためにも、登記は絶対にしておくべきです。 

 【登記をしないデメリット】

●その相続財産(不動産)に関する自分の権利を主張することができない。
 (登記していなければ、自己の権利を他人に対して主張できません。)

●不動産を担保に銀行融資を受けられない。

●時が経つとともに、関係性の希薄な相続人が増え、まとまる話もまとまらなくなる。

●相続財産の名義変更(遺産分割)を終えていない場合は、法定相続人全員の共有財産
 となるので、その不動産の売却ができない。

 相続トラブル事例!

岡山市在住健二さんの場合(例)

事例

※①、②などの数字は、相続に関係する人たちの死亡順を表しております。

健二さんは相続に関するHPに「相続登記には期間の制限はなく、必要になった時に登記
しても問題ない」と記載されていたことを覚えていました。

その為、知り合いの司法書士の強い勧めを断って、自分の父である健吾さんの死亡後、
健吾さんの所有である土地の登記をすることなく、放置していました

相続に伴う登記のことなどすっかり忘れて、そのまま14年が経過した後、その土地の
購入希望者が現れました。

その話を喜んだ健二さんは売却を決めましたが、そのためには相続登記をして土地を
健二さん名義にしなければなりませんでした。

そこで、司法書士に相続登記の依頼をしました
相続登記を放置している間に、健二さんの兄弟である健一さん、健三さんが亡くなって
おり、相続人の範囲が広がっていました。
(健吾さんが亡くなった直後の話し合いでは、その土地は次男である健二さんが相続する
ことで兄弟間で話がまとまっていました。)

そして、その土地に関する事前約束など全く知らない、健二さんとは縁遠い人間同士で
遺産分割協議(遺産を分ける話し合い)を行いました。

しかし結局まとまらず、売却代金を全員で分けることになり、健二さんの手元には
わずかな額しか入りませんでした。

すぐに相続登記をしなかったために、ピンクの網掛けをしている親族同士で遺産分割を
しなければならなくなりました

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