相続について

遺産分割協議

ここでは、以下について詳しくまとめています。

●遺産分割協議について、

 遺産分割の方法、相続人の確定および遺産(すべての相続財産)

 の調査ができた上で作成する「遺産分割協議書」について

どうぞ、ご参考ください。

 遺産分割協議の進め方

遺産分割の種類

相続が開始すると、被相続人(亡くなった人)の財産は相続人に相続されます

その財産はいったん相続人の全員共有財産となりますが、
そのままでは各相続人の単独所有とならないため、
相続人の間で「遺産分割」を行うことになります。

遺産分割の方法は、以下の2つです。

●被相続人が、生前に遺言で指定する「指定分割」

●遺言がない場合は、相続人全員の協議による「協議分割」

指定分割

「被相続人が遺言によって指示した分割方法」のことです。
まずはこちらが最優先となります。

協議分割

「共同相続人全員の協議により行う分割方法」のことです。

これは、全員の参加と同意が必要であり、
一部の相続人を除外したり、無視をした場合、協議は無効になります。

ただ結果的にどのような内容の分割になっても、
お互い意見が一致して決定した分割であれば協議は有効です。

協議分割には、以下の4つの方法があります。

現物分割

「遺産そのものを現物で分ける方法」です。

現物分割では、

●各相続人の相続分を均等に分けることは難しいです。

●相続人間の取得格差が大きくなることもあります。

その際は、その差額分を金銭で支払うなどして代償を付加します。

換価分割

「遺産全部を売却して現金に代え、その現金を分割するという方法」です。

現物をバラバラにすると価値が下がる場合などにおいては、
この方法を採ることが最適です。

代償分割

「遺産の現物を1人(または数人)が取り、その取得者が、
相続分相当するおつりを現金で支払うという方法」です。

共有分割

「遺産を、相続人が共有で所有する方法」です。

共有名義の不動産については、
この後の利用や売却などに共有者全員の同意が必要となります。

遺産分割の話し合いがまとまった際は、
必ず遺産分割協議書を作成しておくようにしましょう

●後日のトラブル防止

●遺産の中に不動産があった場合、
 所有権移転の登記の際・預貯金を引き出す際に必要となる

というためです。

 遺産分割協議の注意点

遺産分割協議、および遺産分割協議書を作成する場合、
注意しなければならない点がいくつかあります。

遺産分割協議の注意点

■必ず相続人全員で行う
(※この場合、必ずしも一堂に会して話し合う必要はなく、
 全員が合意している内容の協議書を、郵送などの持ち回りで署名・押印する、
 という形でも良い。)

「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確に記載する。

■後日発見された遺産(借金が出てくる場合もある)を、
 どのように分配するか決めておく。
(記載漏れがあっても、改めて協議書を作成しなくて済むため。)

■不動産の表示は、所在地や面積など、登記簿の通りに記載する。

■預貯金などは、銀行名・口座番号なども細かく記載する。

■住所・氏名は、住民票・印鑑証明書通りに記載する。

実印で押印し、印鑑証明書を添付する。

■協議書が数ページにわたる場合は、割印をする。

■協議書の部数は、相続人の人数分及び金融機関等への提出数分を作成する。

■相続人が未成年の場合は、
 ●特別代理人(通常は親権者となる)が遺産分割協議に参加する
 ●未成年者が成年に達するのを待ってから遺産分割協議をする

■法定代理人も相続人である場合は、互いに利益が対立することになるため、
 家庭裁判所に特別代理人の選任申立を行う。
(※未成年者である相続人が複数いる場合は、それぞれ別の特別代理人が必要となる。)

■相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成する。

形見分けは自由にできる。
(※形見分けとは、故人の愛用の衣類や時計等、身の回りの物を分けることである。)

■相続人の一人が分割前に推定相続分を処分した場合は、
 遺産分割協議に、その譲り受けた他人を必ず参加させなければならない。

■ 相続人の一人が無断で遺産を処分してしまった場合、
 他の相続人は、勝手に処分した相続人に対して、自分たちの相続分を返却するよう、
 相続回復を請求する調停や審判を家庭裁判所に申し立てる
(※第三者に売却してしまった場合について、
  第三者は何も知らずに購入したのであれば、返却する必要はない)。

遺産分割協議は、原則として
成立した後に、もう一度遺産分割協議をやり直すことができません。

ただし、無効・取り消しの原因となる正当な理由がある場合には、
一部または全面的にやり直すことが認められます。

やり直しが認められるケース

以下のケースにおいては、遺産分割協議のやり直しが認められます。

1)遺産分割時、相続人の意思表示に詐欺錯誤強迫などがあった場合

  (例)相続人が他の相続人に騙されていた

2)遺産分割後に、分割時の前提条件が変更された場合

  (例)新たに遺産が発見された・新しい相続人が現れた

 遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議がまとまったら、次に、遺産分割協議書にその内容を記載します。

そのため「遺産分割協議書の書き方のポイント」を押さえておきましょう。

■用紙

紙の大きさに制限はありません。

■押印

●遺産分割協議書が数ページにわたる場合は、法相続人全員の実印で契印してください。

●法務局では、少しの記入ミスでも訂正を求めますので、
 できれば捨印があった方がいいでしょう。

●捨印を押すのを嫌がる相続人がいるときは、
 チェックして間違いがないことを確認しましょう。

●署名の後ろに捺印する実印は、鮮明に押印する必要があります。

■財産の表示

不動産の場合、住所ではなく登記簿どおりの表記にしてください。
銀行等は、支店名・口座番号まで書いてください。

■日付

遺産分割協議書の相続人が署名・押印した日付は、

遺産分割の協議をした日

最後に署名した人が署名した日

を記入するようにしましょう。

■相続人の住所・氏名

必ず、相続人本人に署名してもらいましょう。

住所・氏名は、印鑑証明書に記載されているとおりに記載します。

 遺産分割の調停・審判

遺産を分割する場合は、
相続人全員による遺産分割協議によって、解決するのが原則となっています。

しかし相続人の間で遺産分割協議がまとまらない場合や、
協議に応じようとしない相続人がいる場合については、
家庭裁判所の遺産分割調停を利用して、解決を目指すことになります。

●調停とは、
「家庭裁判所の調停委員が、相続人同士の意見や主張を聞きながら、
亡くなった人への貢献度・職業・年令などを総合的に判断して、
相続人全員が納得できるよう、話し合いを進めるということ」です。

しかし、この話し合いでも合意ができない場合は、
遺産分割審判申立書」を提出して、家庭裁判所の審判で結論を出すことになります。

この審判では、調停のように相続人同士の話し合いが行われることはありません。
家庭裁判所が各人の事情を聞き取り、公平に判断して、審判を下します。

このとき、

●相続人や遺産の内容についての事実関係を調べる
●相続人の主張の正当性を確かめる

といったことも、必要に応じて行なわれます。

そして、家庭裁判所の下した審判には強制力があるため、
合意できない場合でも、これに従わなければなりません。 

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